山岳遭難しない力を育もう 安曇野市内の有志ら講習会企画

安曇野市内のリハビリ専門職ら4人でつくる山岳医療を広めたいプロジェクト(望月良代表)が11日から12月まで、登山の前段階で発生している微小な遭難リスクや心身の状態と向き合う山岳医療講習会を初めて行う。座学と実技を通して変化や異変に気付く力を養い、増える山岳遭難の減少につなげる。
望月代表=安曇野市豊科光=は理学療法士で、メンバーの中村知香さん=同市穂高有明=は言語聴覚士。他のメンバー2人は県外在住の看護師だ。
県内で昨年起きた山岳遭難は前年比18件増の302件で、統計を取り始めた昭和29(1954)年以降で最も多い。同プロジェクトによると、登山やハイキングの愛好者は減る一方だが、遭難件数は全国的にも右肩上がりで増え続けている。
講習は6回シリーズで、1回の講習は松本市あがたの森文化会館で行う座学(参加費1000円)と、松本市郊外の美ケ原高原周辺で行う実技(同5000円)がセットになっている。第1回は「登山時の疲労と排せつを学ぶ」をテーマに11日は座学を、28日に実技を行う。第2回以降はバランス能力の改善や疲労度チェック、自分に合ったエコ速度の探し方などを学ぶ。
登山の前段階に潜んでいる遭難リスクに焦点を当てた講習は珍しい。望月代表は「ここにアプローチしない限りは遭難件数の減少に行き着かない」と分析する。中村さんは「他人を基準にせず、昨日と今の自分を比較してほしい」と願う。