塩尻のえんぱーくに人をつなぐ「ハピネスカフェ」オープン

塩尻市の市民交流センター・えんぱーく1階に、住民が仲間をつくり楽しい未来を自発的につくるための実証実験のカフェ「ハピネスカフェ」が8日、開設された。社会の問題解決に取り組むインドの企業ドリシテが日本で初めて行う事業で、社会起業家で大阪大学3年生=休学中=の山田果凜さん(23)=大門三番町=が運営を担う。人が集う交流の場から、課題を解決して市民幸福度を向上させるモデル構築を試みる。
実証実験は、少子高齢化が進む中、単身者の増加による孤立や孤独感の解消、地域課題に向き合い協力する人手確保の狙いがある。
カフェは不定休で午前10時~午後5時に開き、コーヒーやジュースを300円で提供する。飲料を注文すれば食べ物の持ち込みは可能だ。誰でも利用できるが、会員登録した場合は飲料が毎回100円引きになり、複数人で組みやりたいことを実現する「コレクティブアクション」(協働)の発起人になる仕組み。
山田さんは兵庫県出身で小学4年時にタイに移住、不登校を経て、インドでの物乞いの少年との出会いを機に現地で奉仕活動を始めた。沖縄県の国際高校を卒業後、19歳で起業し沖縄と兵庫でカフェ2店舗を経営しコーヒーの輸入販売を手掛け、売上金の一部をアフリカのNPOに寄付する貧困撲滅に貢献してきた。社会起業家の先輩や知人の紹介で、農村の能力開発や貧困緩和の金融事業を手掛けるドリシテや塩尻と出合った。
市内ではカフェ開設前に市民に意見聴取し、単身で食事の準備や車を運転する人がいないなどの困り事を把握する一方、「私なんて」を口癖に何もできないと話す人もいて驚いたという。山田さんは「何も持っていない人はいない。まずは顔見知りをつくる。行動する人をつなげられたら」と話す。えんぱーく改修工事に伴い、9月以降は市内の別の場所に移転し継続する方針だ。