スポーツ

高校野球で今春から低反発バット導入 攻守に変化

低反発バットでボールを捉える都市大塩尻の選手

 今春から高校硬式野球で使用するバットが、反発性能を抑えた新基準の金属バットに変わった。日本高校野球連盟の試験では、従来より打球の初速が約3.6%遅くなったとされ、飛距離は5、6メートル短くなると見込まれている。「飛ばないバット」とも呼ばれ、春の大会で使用した中信地区の球児からは「打球が伸びなくなった」との声が聞かれる。一方で、「技術次第で従来と変わらない」とする選手もいる。
 過去3回の春季県大会の長打数は60本前後で推移していたが、今年は49本に減少した。しかし、本塁打数は今年と昨年で変わらなかった。松商学園高で主軸を担う丸山慧也選手(3年)は「芯で捉えることができれば以前のバットと変わらない」と話す。ただ、「詰まったときは前ほど飛ばない」とも。よりミート力が重要になったことを体感している。
 近年は「打高投低」の傾向が強まり、投手の負担が増していたため、低反発バットが導入された。当然、守備面にも影響があり、日本ウェルネス長野高の内山義彦監督は「打球が飛ばないことを前提に、外野の守備位置が浅いチームが多かった」と春の大会を振り返る。実際、打球が失速するケースが多かったとする指導者は多い。守備側に有利に働く要素が濃い一方で、松商学園高の松宗勝監督は「外野手の打球判断が難しく、各チームが苦戦している印象」と、新たな課題を指摘する。
 低反発バットの導入で、少なからず攻守に変化は出ている。春の経験を生かし、間もなく開幕する全国高校野球選手権長野大会では各校の対応力が求められる。東京都市大学塩尻高の伊藤雄大主将(3年)は「守りが浅くなることで点が取りづらくなった」と語る。守備と走塁の重要度が高まったとし、そこを磨いて夏を迎えるつもりだ。