地域の話題

松本の活路、広い視野で示す タイムス広告会の藻谷さん講演会

講演する藻谷さん

 中信地方の有力企業でつくるタイムス広告会は26日、松本市本庄1のホテルブエナビスタで特別講演会を開いた。日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんが「東京集中が招く日本の危機と松本の活路」と題して語り、集まった約400人が、国や地方が置かれた状況を正しく把握することの大切さ、地域資源に恵まれた松本の進むべき方向性について理解を深めた。

 「バブル期と昨年を比べると、日本の輸出額は?」。藻谷さんはクイズ形式で、通説やうわさ、識者の意見に惑わされず、自分で統計などの数字を確認して事実をつかむことの大切さを訴えた。日本の国際競争力が落ちていると言われるものの、正解は昨年の輸出額はバブル期の2倍以上に達しており、日本の状況を悲観しすぎる必要はないとした。
 その中で、日本の貿易収支が赤字になっている国は、化石燃料を輸入している中東や東南アジアの国に加え、先進国ではイタリアやスイスだという。この2国は①大都市への一極集中が進んでいない②農村漁村に経済力・競争力がある③観光、手作りブランドの付加価値で稼いでいる―といった特長があると指摘した。「環境がスイスに似た信州は明治期、この国に学び繊維や時計産業を興した。今からでも遅くない、東京を目指すのではなく、再びスイスになることを真面目に考えてほしい」と述べた。