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塩尻で熊目撃情報多数 市がネットや防災無線で注意呼び掛け

頻繁に出没するクマへの警戒を市民に呼び掛ける市ホームページのイラスト動画

 塩尻市内で6月に入って熊の目撃情報が頻発している。10日までに6件が市に寄せられ、1日にはニホンジカ用のくくりわなに誤ってかかったツキノワグマにかまれ、市職員が左手親指付け根を5針縫うけがをする事故も起きた。市はホームページや防災行政無線、緊急メールで市民周知を図るなどして、警戒体制を強めている。

 1日の事故は宗賀床尾の山林内で起きた。10日には洗馬芦ノ田の山林内で防犯カメラに、前夜に行動する熊が映っていたと報告があった。目撃情報は塩尻東、北小野、宗賀、楢川、洗馬で多い。目撃は4月が3件、5月が1件だった。
 市は市ホームページに注意喚起の文章とイラスト動画を載せた。野菜や生ごみを屋外に放置しないことや蜂の巣の除去、腐敗や発酵など刺激臭を発するものの回りへの電気柵設置を促している。
 市は1日の事故を受け、職員の出動体制を見直した。現地確認する際は2人で赴き、手袋やヘルメットを着用、熊よけスプレーを携帯する。狩猟免許がないため、猟友会員より離れた場所で対応する。猟友会員には、熊の出没が予想される場所にくくりわなを設置しないよう求める。14日に開く市鳥獣被害対策実施隊の緊急会議で、市猟友会の支部長と情報共有する。
 市農林部によると、昨年度の熊目撃情報は39件で、前年度に比べ18件多かった。捕獲状況は、捕殺が2頭、事故死が2頭、放獣が3頭だった。近年、熊の個体数が増えているとの見方もあり、田下高秋・耕地林務課長は「身の安全を確保しながら行動してほしい」と呼び掛けている。