地域の話題

楢川の風景詠んだ歌冊子に 平沢の瀧澤さん短歌150首

楢川分館で閲覧できる「短歌集」を手にする瀧澤さん

 塩尻市楢川地区の活性化に取り組む住民有志の「ならかわ桜プロジェクト」(NSP)は、地区の風景をモチーフとして詠んだ短歌約150首をまとめ、冊子にした。思わず歌を詠みたくなるような地域資源を紹介するウェブサイトに写真とともに歌を掲載してきたが、住民から「直接手に取って読みたい」との要望があり「短歌集」を作った。今月から市立図書館楢川分館に置き、閲覧できるようにした。
 短歌は「七音」の筆名で活動する木曽平沢の歌人・瀧澤ひとみさん(47)が手掛ける。令和4年夏にサイトを開設して、風景写真とともに43首を載せ、その後も毎月5首前後を増やしてきた。「作品集がほしい」という根強いファンがおり、インターネットに不慣れな人もいるため、2冊のファイルにまとめた。
 瀧澤さんは、風景を題材としながらも説明的な歌にならないように気を配る。現地に訪れて感じたことを大切にしながら歌にしている。「木曽谷の零れ桜の散りゆくを蒼色の風と眺むる旅路」の歌は、青空に映える地元の桜を旅人の視点から詠んだ。
 作った際の思いもコメントとして添えている。奈良井宿アイスキャンドル祭りを取り上げた歌「忘れたい記憶を食べる妖怪を探して歩く静かな夜道」には、「獏のように 記憶を食べてくれる妖怪がいたら 私は探しに行くでしょう ちょっとドキドキする夜道を一人で」と記している。
 楢川地区の自然、風景、人にみせられて歌い続ける瀧澤さんは「ここに住んでいるから歌ができる。サイトでは、風景を紹介する写真がメインだと思っているけれど、歌は景色をドラマチックに見てもらう魔法のようなものかな」と話している。楢川分館は火~土曜日の午前10時~午後5時に開館する。