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木地先祖に誓う ろくろ細工継承 南木曽の漆畑地区 没後140年 大蔵久蔵氏の初法要

大蔵氏が祭られている石碑。「木地先祖」の文字が刻まれる

 国の伝統的工芸品「南木曽ろくろ細工」の技術が伝わる南木曽町吾妻の漆畑地区には、明治9(1876)年に同地に最初に移り住んだ職人とされる大蔵久蔵氏が祭られている。今年が大蔵氏の没後140年となることに合わせ、地域の職人らが法要を行った。自分たちのルーツを見つめることで、技術や思いを次代へつなぐ決意を新たにしようと、初めて実施した。

 漆畑墓地に大蔵氏の石碑があり、父の勝太郎氏と共に祭られている。ろくろで木材を回し削り出すろくろ細工の技術は、平安時代の西暦800年代に惟喬親王が考案したとされる。84歳で没した大蔵氏は、親王の従者で技術を習得した大蔵惟仲からみて第54代という。ろくろ細工職人は「木地師」と呼ばれており、大蔵氏の石碑には「木地先祖」の文字が刻まれる。
 法要は南木曽ろくろ工芸協同組合と漆畑区が行い碑前で営んだ。地元の若い世代の参加も呼び掛け、小椋悠起さん(21)は「親から話は聞いていたが、自分たちの歴史により実感が湧いた」と話した。
 漆畑周辺には昭和の初めころで30軒ほど職人がいたが、現在は6軒という。同組合理事長で悠起さんの父の一男さん(68)は「1000年以上継がれてきた木地師の重みを感じる」と継承への思いを語り、大蔵氏の子孫で組合員の大蔵国広さん(57)は「なり手が減り難しい現状だが、伝統の技術を守っていきたい」と力を込めた。