地域の話題

手仕事の魅力発信 松本で「工芸の五月」開幕

本郷さん(左)の実演を交えた説明に興味深く聞き入る参加者たち

 松本のまちと工芸に親しむ月間イベント「工芸の五月」(実行委員会主催)が29日、スタートした。5月末までの33日間、手仕事の魅力に触れられる多彩な企画が用意されている。初日は複数のギャラリーや博物館施設で趣向を凝らした企画展が始まったほか、職人の仕事を間近に感じられる工房見学も行われた。

 ギャラリー自遊石(中央3)では「情景図鑑」と題して5月6日まで、彫金作家・若林由季さん(51)=松本市里山辺=と童画家・松森清昭さん(64)=同市新村=がアクセサリーと絵画各30点ほどを展示している。
 石の見せ方にこだわっているという若林さんは、青をベースに月夜の世界を描く松森さんに合わせ、シルバーを中心に月や星のモチーフ、青や白の石、変形パールの作品をそろえた。若林さんは「光が印象的な絵に引っ張ってもらった」と合同展の魅力を話している。
 染織作家・本郷孝文さん(79)の創作の場となる本郷織物研究所(清水1)では、工房公開があった。次々と訪れた市民らが本郷さんの案内で見学。糸より機など使い込まれた道具の実演も交え、糸の下準備や染色、織りといった工程ごとに説明を受けた。希望者は機織りも体験した。
 埼玉県の会社員・大野美佐子さん(55)は機織りを体験し「思った以上の力仕事で、芸術品に昇華させていることに驚いた」と感激。織物の経験がある市内の女性(74)は「先生の工房見学は念願だった。すごい、の一言。久しぶりに織りたくなった」と喜んでいた。
 高美屋文庫(中央2)での個展の関連企画で、3日午前10時~午後4時も公開する。入場料1000円、予約不要。問い合わせは伏見さん(電話090・7010・9900)へ。