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二人三脚で桜の里づくり 松本市三才山の小日向集落

国道254号を上田市方面に向かうと目に入る小日向の桜

 松本市三才山の国道254号沿いで、棚田の上に大小さまざまな桜が満開となり、ドライバーの目を引いている。20年ほど前に小日向集落の「日向の会」の住民が植樹した数本を、柳澤圭一郎さん(77)が志を引き継いで増やし、幼なじみの柳澤嘉明さん(79)が下草を刈ってきれいに手入れして、美しい景観になっている。

 圭一郎さんは高校を卒業後に東京に出て働き、10年ほど前に故郷に戻ってきた。日向の会が植えた桜の周囲は圭一郎さんの実家の桑畑だったが、荒れてしまっていたため、桑の木を伐採して桜を植えることにした。
 圭一郎さんは脳梗塞の影響で半身が不自由なため、近くに住む嘉明さんが年3回、下草刈りをしている。看板製作の明広社を創業し、現在は息子に経営を任せている嘉明さんは「暇だから好きでやっている」と笑うが、圭一郎さんは「作業がとても丁寧。刈った下草も放置せず燃やしている。これだけ広い土地の手入れは愛情がなければできない」と感謝する。
 小日向の集落は標高約800メートルで、例年だと桜の開花は松本城周辺(標高約600メートル)より1週間ほど遅い。今年は13日から気温の高い日が続き、一気に開花した。圭一郎さんは「小さな木がきれいに咲き出したのもここ2、3年。みんなに見て喜んでもらえれば」と話している。