政治・経済

松本市がパルコ後利用を再検討 市長選で批判票 行政関与の妥当性から

来年2月末に閉店する松本パルコ。後利用に関する市の対応が注目される

 3月の松本市長選挙で争点となった、来年2月末に閉店する松本パルコ(中央1)の後利用について、市が議論の準備を進めている。従来の市の対応を批判する新人候補が臥雲義尚市長に477票差まで肉薄した選挙結果を受け、行政が関与すべきかどうかという原点からあらためて議会と協議し、併せて市民アンケートも行う方針だ。臥雲市長は「市民の共感と納得を得た上でなければ前に進められない」としている。

 議論の手順については①パルコがある伊勢町、本町などの中心市街地の空洞化阻止に市が関与すべきか②市の関与が妥当とするなら手法はどうあるべきか③公共施設を整備するならどんな中身にすべきか―の3点を挙げる。
 ①と②について市の関与、提案する手法に市議会の了承が得られたら③について市民アンケートを行う。たたき台として示してきた「図書館機能をベースに子育て支援、文化振興などに資する複合施設」を前提とせず、自由に意見や提案を募る方向で検討している。
 パルコが北側新館を改築した上で下層階を商業施設に、上層階を市が借りて複合施設を整備する方針は、市議会が2月に了承している。「改築工事の期間を鑑みると、できる限り早く回答する必要がある」とする中、短期間で議論した。
 しかし市長選で、年間約3億円で20年間賃貸借というパルコ側の提示を受け入れることを「税金の無駄遣いだ」などと批判した新人候補が現職を猛追。市の方針への賛否が分かれる結果となり、そのまま賃料などの契約協議に進むことが困難になった。閉店後速やかに改築し、令和8年中の再開を目指すパルコの意向通り進むかは不透明だ。
 市総合戦略室は「スピード感ありきでは進められない。キーワードは『共感と納得』だ」とし、説明を尽くして理解を得る姿勢を強調する。直近の市議会6月定例会より前に、議論の進め方を市議会に説明し、了承を得たいとしている。