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水上ドローンで橋梁点検 市、早稲田大と共同研究 業務省力化

拾ケ堰で行われた試験。水上ドローンのカメラが橋の下面を撮影する(早稲田大学社会環境工学科佐藤研究室提供)

 安曇野市と早稲田大学が、水上ドローンを使った橋梁点検診断システムの構築に取り組んでいる。少子高齢化に伴う予算の減少や技術者不足が予想される中、現在は人の目で行われている点検作業を機械化することで、業務の省力化を目指す。

 市維持管理課によると、市が管理する橋は全部で756基。国の要領に基づき、全ての橋でそれぞれ5年に一度、目視点検を行う。9割以上は堰や用水路に架かる小さな橋であるため、下側に人が入りづらく、点検作業にかかる労力の大きさが課題となっている。
 システム構築は市と早稲田大学創造理工学部社会環境工学科の佐藤研究室(佐藤靖彦教授)の共同研究で、市がフィールドを提供し、研究室が技術開発を担う。水上ドローンのカメラで撮影した橋下面の画像から、AI(人工知能)で損傷の有無を自動的に判定し、より詳細な調査が必要な橋をえり分けるシステムだ。研究は令和4年11月から始まり、学生らが三郷明盛の拾ケ堰で実用化に向けた試験を進めている。
 佐藤教授は「今年1年で実際に使えるようにしたい。その後の1、2年でシステムの信頼性を高め、『安曇野モデル』として他の自治体にも展開したい」と話す。市維持管理課の担当者は「外部に委託していた点検作業が職員自身でできるようになる。省力化に加え、費用削減も期待できる」と力を込める。
 研究では合わせて、点検の診断結果や補修歴などを地図上に記録し、情報を可視化・一元化するシステムの構築も目指している。