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麻績村の協力隊員・三田桃子さん 旧日向小の桜で染色

旧日向小の桜で染め上げられたストール作品を見せる三田さん。麻績工藝展に出品する

 麻績村の地域おこし協力隊伝統工芸班で、草木染を研究する三田桃子さん(30)が、旧日向小学校校庭の桜(ソメイヨシノ)の枝を活用し染色に取り組んでいる。樹齢70年以上の桜は周辺の安全のため今冬に一部が伐採され、村に相談して不要な枝を譲り受けた。三田さんは、桜の花のように華やかなピンク色に染まる性質に注目している。

 三田さんはこの冬、旧校庭近くの村第2公民館で制作中、伐採作業に遭遇。これまで材料が十分に入手できず、控えてきた桜の染色が試せると考えた。発色に優れるとされる枝の先端部分を使って試行錯誤した結果、原料約1キロでストール1本分をほぼ安定した仕上がりで染められることが分かった。
 染色作家としての自立を考える三田さんは、試作品を贈った村内の世話になった人が、"桜色"の美しい仕上がりに驚いたことに自信を示す。「旧日向小の桜のおかげで、思う存分に試作し好みの色合いを見つけることができた」と感謝し「研究の成果を今後の作品制作にも生かしていきたい」と意欲を見せている。
 「村で採れた桜で村に恩返ししたい」という考えがある。制作した桜染色のストールは、5月10~12日に長野市で初めて開く麻績工藝展に出展する。