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木曽に弁護士 半世紀以上ぶり 福島に事務所 日弁連支援 初代所長に門田さん

記者会見で思いを語る初代所長の門田さん

 木曽地域で半世紀以上ぶりとなる法律事務所「木曽ひまわり基金法律事務所」が木曽町福島に開所し、18日に業務が始まった。地方の弁護士過疎を解消するため、日本弁護士連合会(日弁連)が積み立てる「ひまわり基金」などの支援を受けて公設された。初代所長に門田雅也さん(30)が就任し、住民の法的支援に尽力していくことを誓う。

 門田さんは広島県福山市出身。令和4年5月から2年間、弁護士過疎地域で働く弁護士を養成する東京の事務所に勤めた。刑事や民事のほか、親族の争い事など家事といった多様な事案を扱い、幅広い分野に対応する「ゼネラリスト」を目指してきた。
 木曽との縁は同年11月。関東弁護士会連合会が行う、弁護士不足の実態調査で木曽町を訪れた。弁護士ニーズの聞き取りをする中で、困り事に挙がったのは主に成年後見や相続、空き家の問題だ。「もっと広い内容に対応できるはずだが、挙がる例が少ない」と、弁護士へのなじみの薄さを感じた。
 県弁護士会によると、木曽地域では昭和30年代に旧福島村(現木曽町)で男性弁護士の活動が確認できたのが最後という。同会松本在住会は、10年以上にわたって「法律無料なんでも相談会」を木曽郡内各地で開くなどしている。ただ、近隣地域の事務所まで往復で数時間かかり、司法書士が1人で多数の成年後見を担うなど法的支援の実情は厳しい。
 「目の前の人たちの助けになりたい」。門田さんはこうした思いを実現できる職業として、小学生のころから弁護士に興味があったという。国学院大学、立教大学大学院で法律学を学ぶ中、司法過疎に関心を持った。
 1月に木曽町に移住した。豊かな自然や宿場町の趣は、実態調査で訪れた際から「衝撃を受けた」という。ひとまずの任期は3年間。弁護士業の周知を図りながら「一人の身近な人間として皆さんと接し、困り事に手を差し伸べたい」と話す。
 事務所の受付時間は平日の午前9時半~午後5時半。問い合わせは(電話0264・24・0754)へ。