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ドローンで迫力の空撮 安曇野市の倉田堰・水神祭の動画紹介 住民有志が制作 

倉田堰と水神祭を紹介した動画と米倉さん(右)、横澤さん

 安曇野市堀金烏川の倉田区の住民有志でつくる「倉田区水神祭の今後を考える会」は、区内を流れる農業用水路・倉田堰とその水神祭を紹介する動画を制作した。ドローン(無人航空機)によるダイナミックな空撮映像も用いながら、祭りや山中の取水口の様子などを約5分間にまとめている。

 倉田堰は江戸後期、水不足に困窮した旧倉田村の住民が尽力して開削した。堰自体は県烏川渓谷緑地内の烏川から取水しているが、住民は水利権を得るため、標高約1700メートルの山奥を流れる冷沢から延長約900メートルの木樋を通し、烏川に合流する小野沢に水を落とした。水神祭は堰が完成した文化8(1811)年から、区内の里宮で営まれている。
 動画では、4月に区で営む水神祭の様子や里宮を守るように咲く桜、冷沢の取水口を紹介。取水口周辺の空撮映像は山々が広がり、開削作業の厳しさを物語る。6月に市烏川土地改良区が堰の取水口近くで営む奥宮の水神祭の様子も収めた。
 「今後を考える会」は令和3年、水神祭をやめようという声が区内から出てきたことを受けて、米倉清治さん(76)が立ち上げた。「先人たちが苦労して水を引いたことで田園が広がり、生活が生まれてきた」と継承を願い、堰にまつわる資料集めなどに取り組む。
 米倉さんからの依頼を受け、空撮映像を用いて市内小学校の動画教材を制作している横澤典利さん(65)=堀金烏川、下堀区=が動画を撮影・編集した。横澤さんは今回の制作を通して「昔から住む人と新しく引っ越して来た人が地域の歴史を共有することで、お互いのギャップを解消できるのではないか」と感じたという。
 動画は区の行事や新規加入者への説明などで活用する予定。米倉さんは「水神祭は先人の苦労に感謝する営み。区の行事として大切にしていることを知ってもらえれば」と願っている。