地域の話題

世界的指揮者の小澤征爾さん死去 OMF総監督 松本の音楽文化けん引

SKOコンサートの指揮を終え、万雷の拍手に笑顔で応じる小澤さん(平成20年)

 松本市で開催される国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)の総監督で世界的指揮者の小澤征爾(おざわ・せいじ)さんが6日、心不全のため都内の自宅で亡くなった。88歳。葬儀は近親者で営み、後日お別れの会を検討している。

 昭和10(1935)年、旧満州(現中国東北部)生まれ。子供のころにピアノを始め、桐朋学園で音楽家の齋藤秀雄に指揮を学んだ。34年、若手指揮者の登竜門とされるフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。シャルル・ミュンシュ、カラヤン、バーンスタインといった世界の名だたる指揮者に師事し、48年から29年の長期にわたり米ボストン交響楽団の音楽監督を務め、東洋人で初めてオーストリア・ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就いた。
 恩師・齋藤秀雄の没後10年となる昭和59年に世界で活躍する教え子らと開催したメモリアル・コンサートをきっかけに、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を結成。世界的な評判を呼び、ヨーロッパ公演などを重ねる中で平成4(1992)年、松本市でOMFの前身となるサイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF)をスタートさせた。
 オーケストラとオペラを両軸にファンを魅了。合唱など市民がオーケストラと共演するプログラムや市民参加の企画で「楽都・松本」の醸成も後押しした。晩年は病気やけがのため出演機会が少なくなり、公演での指揮は令和元年が最後となった。昨年は、親交の深い世界的作曲家ジョン・ウィリアムズさんが出演した公演でカーテンコールに姿を現した。