教育・子育て

卒業アルバムから消える個人写真... 掲載しない中学校増える 

卒業アルバムの見本の冊子。集合写真だけのページで作る学校が、一昔前に比べて多くなっている

 松本地方の中学校で近年、卒業アルバムに卒業生全員の個人写真を載せない学校が複数ある。不登校の生徒の増加や、個人写真の掲載を望まない生徒の意向、インターネット上での個人写真の無断使用への懸念といった理由があるという。生徒全員の顔写真と名前を載せるのが"定番"だが、個人が特定されない集合写真だけで構成し、将来にわたって楽しく安心して見られるように工夫している。

 松本市や安曇野市、塩尻市は、卒業アルバムの内容は「各学校に任せている」としている。
 個人写真の掲載をなくした時期は、数年前からという学校が多い。「10年ほど前から集合写真だけで、これが例年通りになっている」という学校、不登校の生徒が多くて個人写真の掲載も希望しない生徒が多いクラスが1学級あったため、その年度だけ全クラスの個人写真を掲載しなかった学校もある。
 ある市立中学校は、本年度に3年生たちに意向を聞いた。「子供たちが、みんなで活動している時の写真をたくさん載せたいという意見だった」ため、個人写真の掲載をなしにした。インターネットが普及し、「個人写真は顔がアップで名前も書いてあるので、悪用されることも考えられる」と心配もあるという。
 松本市波田の川澄写真店は、主に中信地区の小中学校など約40校から依頼を受けて卒業アルバム用の写真撮影をし、構成やデザインも請け負っている。「個人写真は載せないけれど、名簿だけに名前を載せる」など、依頼内容は多様という。
 一昔前は、欠席した生徒の顔写真を集合写真の片隅に添えることが主流だった。今は、画像の加工技術が進化し、一緒に並んで写っているように見せる合成が「よくある」ケース。欠席した生徒の制服姿の写真やユニホーム姿の写真を、クラスの集合写真や部活動の集合写真と合成して、仲間と肩を並べているように見せるといった注文が多いという。