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能登半島地震1カ月、続く窮状 「みらい」輪島市門前町で炊き出し

夕食の天津飯とおでんを食べて笑顔を見せる避難者(31日、輪島市門前町)

 能登半島地震の発生から1カ月―。被災地で炊き出しの支援をしている松本市炊き出し隊みらい(浅田修吉代表)に同行して31日、石川県輪島市に入った。被災者は温かい食事に笑顔を見せた一方で、倒壊家屋や陥没した道路が手つかずのまま残り、断水が依然続く現状に表情を曇らせた。

 松本駅前で洋食屋・どんぐりを営む浅田さん(65)を隊長に、松本市議会議員の川久保文良さん(49)、いずれも料理人の大竹誠二さん(67)=東京都、佐久川恵さん(58)=カナダ=が早朝に松本を出発し、現地の避難所運営を担う瑞松寺住職で、シャンティ国際ボランティア会の茅野俊幸さん(57)が待つ輪島市門前町に向かった。
 同市門前町走出の門前公民館で、4回目の炊き出しをした。公民館や周辺の学校、老人ホームに避難する計約220人におでん、天津飯などを振る舞った。
 午後3時のおやつにぜんざいを振る舞うと、被災者は一様に表情を緩ませた。門前町和田の宮本啓子さん(70)は「一番目に駆けつけて食べた。甘いものが好きなのでうれしい」と笑顔を見せた。
 輪島市門前町では、屋根が落ちた家屋や道路の陥没、隆起がほとんど手つかずのまま残っている。自宅が全壊した85歳の男性は「行政の人はみな市中心部に行ってしまい、門前には全く人が来ない。(応急危険度判定の)赤紙を貼っただけで何もしてくれない」と窮状を訴えた。
 現在も断水が続き、門前町清水の自宅から公民館に避難する伊藤優子さん(69)は「自衛隊が用意してくれた風呂も入りきれず週に1回ほどしかいけない。水がないのが一番困る」とこぼしていた。