政治・経済

塩尻市内住宅の耐震化進まず 促進計画の目標値達成は厳しく

補助制度周知の勧奨はがき。耐震診断実施後の改修になかなか進まない現状もある

 塩尻市の住宅の耐震化がなかなか進まない。市が対象物件の居住者に働きかけているが、昨年度の耐震化率(住宅の総数に占める耐震性のある住宅の割合)は85.5%で、市耐震改修促進計画(令和3~7年度)に掲げる目標値92%の達成は厳しい状況だ。能登半島地震を受け、市民から問い合わせがある状況も踏まえ、建築住宅課は「耐震改修して建物を強くしてもらえれば」と訴える。

 耐震化率の目標値は県に準じている。市が目標を達成するには、計画が対象とする5年間で約1500棟の改修・解体が必要だが、ここ数年は年間で十数件程度にとどまる。昨年度末の県全体の住宅耐震化率は87.52%だった。
 昭和56(1981)年5月末以前に着工した住宅で、耐震診断の結果、倒壊の可能性を判断された場合、耐震改修や除却、現地建て替えの工事の際に市の補助金が出る。補助上限は耐震改修・現地建て替えが100万円、本年度追加された除却が83万8000円。
 市は、全10地区の対象物件に平成27(2015)~本年度の9年間、耐震診断の通知を送り希望の調査をしてきた。この間の通知数は4683件で、このうち耐震診断実施は461件と1割弱。耐震性が不十分な住宅は3700棟余ある。
 過去に耐震診断を受けたものの耐震未改修の住宅に、市は制度周知の勧奨通知を送っている。昨年末に送ったはがきの返信は1月末時点で改修予定が5件、相談希望14件で、能登半島の被害映像を見たとして心配する声もあった。改修が進まない理由には、居住者の高齢化に加え費用面やその効果への懸念があるようだ。
 市が本年度に受け付けた耐震診断申請は39件、耐震改修・解体申請は14件。担当者は「1件でも耐震性のある住宅が増え被災が減らせれば」と話す。百瀬敬市長は「機会をとらえて制度を周知し災害に強いまちづくりを進める」としている。