連載・特集

2024.2.1 みすず野

 旧四賀村(現松本市)出身の植物研究家・横内斎さんが「毎年のことながら、ほんとに長い冬だと思う」と書いたのは昭和31(1956)年だ。「昨日はからずも家の裏の土手に登ってみたら、三男の植えたフクジュソウのつぼみが、ふっくらと笑っていた」(『草木漫筆』銀河書房)と◆植物観察家・鈴木純さんは、昨年2月1日の日記に「明け方の気温はマイナス6℃。きょうは雪の中の植物の様子を見たかったので、清里(山梨県北杜市)エリアの林の植物の写真を撮りに行くことにした」と記した(『冬の植物観察日記』雷鳥社)。オニグルミの冬芽の写真が載る◆『樹』(足田輝一・文、姉崎一馬・写真、講談社現代新書)には、葉を落とした樹が枝を広げて平野に立つ「マイナス二〇度の朝」という写真に「梢にある冬芽は寒風に耐えやがて来る春の展開を待っている」という文が添えられている。春よ来い◆能登半島地震から1カ月。被災地では最初の仮設住宅が建設された。ライフライン復旧は全国からの人的支援で進む。中信地区からもボランティアが現地に赴き、炊き出しなどを続けている。一日も早い復興を願うばかりだ。