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「亡き母の味再現」おはぎ専門店 松本の塩原多美江さんが70歳を前に開く

母の味を再現した無添加のおはぎを持つ塩原さん(右)と宣吉さん

 名古屋から松本市に移り住んで間もない女性が70歳を前に、おはぎの専門店を市内に開いた。北深志3の塩原多美江さん(69)で、亡くなった母の自慢の味を再現する。「祖母の味を引き継げたら」と同居する長男・山田宣吉さん(47)も一緒に店を切り盛りすることになり、心強いサポート役を得て張り切っている。

 店は城東2の「ろはんのおはぎ」。あんこ、きな粉など5種類(1個120円)が定番。ご飯を握り始めるのは毎朝5時と早いが「甘いものを食べた時の自然な笑顔が大好きだから」と気にしない。
 滋賀県出身で、中学生の時に名古屋市へ。珠算教室を営んでいたが、2年前に夫が亡くなった。宣吉さん宅に滞在する機会が増える中、働く自分を支えてくれた母のおはぎを作ってみたいと思うようになった。
 試行錯誤の末、甘さ控えめでご飯に少し塩気がある母の味を再現できると、自ら掛け合い農産物直売所で委託販売を始めた。やがてパン店の定休日に店舗を借り、そして昨秋に自分の店を持った。
 見守ってきた宣吉さんは「年齢に関係なく、チャレンジできる母を尊敬する」と勤め先を辞めて店に入った。塩原さんは「まさか一緒にやってくれるとは」と感謝し「人生で最後のチャレンジかな。後悔しないよう丁寧におはぎを作っていきたい」とほほ笑む。
 午前10時~午後5時(売り切れ次第終了)。月曜定休。予約可。ろはんのおはぎ(電話070・7570・0417)へ。