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外来種増加 揺らぐ生態系 安曇野市が市民参加型生き物調査

アカボシゴマダラの春型(那須野雅好さん提供)

 安曇野市が5年ぶりに昨年行った市民参加型の生き物調査「第4回生きもの調査2023」の結果がまとまった。コオロギの仲間で中国原産の外来種・アオマツムシに増加傾向があり、在来植物のワレモコウやウツボグサには減少傾向がみられた。今回初めて調査対象に加えた中国大陸原産と考えられている特定外来生物のチョウ・アカボシゴマダラも2件報告があった。

 昨年3月21日~10月31日を調査対象の期間とし、植物や魚類、昆虫類、鳥類、ほ乳類など66種類の報告を市民に求めた。平成30(2018)年の前回調査と比べて10種類を入れ替えている。53人から対象種748件、対象外173件の計921件が報告された。
 前回1件だったアオマツムシは4件の報告があった。県内で地球温暖化が原因と考えられる気温の上昇とともに生息地域が広がっているとされ、前回の調査報告書でも「今後市内でも増える可能性がある」と指摘されていた。数が多いと鳴き声は騒音だという。
 ワレモコウやウツボグサは山麓部や山地の日当たりの良い草原などで生育する。見つかった場所は、前回21カ所だったワレモコウが11カ所に、前回19カ所だったウツボグサが8カ所にと、いずれも半減している。ほ場整備されていない、人がきちんと草刈りをする場所に残るという。
 市生物多様性アドバイザーの那須野雅好さんによると、アカボシゴマダラはマニアが意図的に野生に放したチョウで、安曇野には一昨年に入り込んだと考えられている。在来のゴマダラチョウやオオムラサキと幼虫の食樹が同じで競合が心配されている。那須野さんは「勢力図が今後どうなっていくのかの分岐点」と指摘する。