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大河ドラマで注目集まりそう 深志香道部と同窓会が「源氏香」

静寂の中、香炉を顔に寄せて香りを聞き分ける参加者(左)たち

 平安時代の文学『源氏物語』を著した紫式部の生涯を描く大河ドラマ「光る君へ」がNHKで放映される中、『源氏物語』にちなんだ組香「源氏香」が28日、松本市蟻ケ崎3の深志教育会館で行われた。松本深志高校香道部の同窓会が定期総会に合わせて実施。現役部員と同窓生の計15人が源氏物語54帖の巻名を当てはめた雅な組香の世界を楽しんだ。

 組香とは漢詩や古典文学を取り入れたルールにのっとり、香木の香りを聞き当てる遊戯。代表的な「源氏香」では52通りある香の組み合わせのそれぞれに、物語の初めの「桐壺」と最後の「夢の浮橋」を除く巻名が当てはめられている。帚木、花散里、夕霧...などだ。
 この日は現役部員のお手前で実施。5種類の香木を25包用意した中から選んだ5包の香りを聞き分けた。香元の生徒が1包ずつ香炉で香木をたいて手渡すと、参加者たちは香炉を顔に寄せて目を閉じ、静寂の中で深くゆっくりと呼吸した。5種の中に同じ香りがあったか否かを52通りある「源氏香の図」でそれぞれに書き表し、正解は2番目と5番目が同じ「藤袴」だった。
 同部2期生で事務局の百瀬文貴さん(36)=山形村=によると、香道は文学や書、作法や歴史に通じ、古来の日本人の考えや精神性を体験しながら自分を磨く文化でもある。2年生で部長の滝澤莉緒奈さん(17)は「紫式部が注目を集める絶好の年。広く知ってもらい、大勢の新入部員を獲得したい」と期待していた。