ギャラリー「雨の樹」開設 穂高有明にカフェ併設 岡本さん チロル運営の経験生かし

安曇野市穂高有明の岡本由紀子さん(54)が19日、カフェ併設のギャラリー「雨の樹」を近くにオープンした。同市豊科南穂高で昨年9月に閉店したカフェギャラリー「あづみのコミューンチロル」の運営を担った岡本さんが一念発起。暮らしを潤すものづくり文化の振興へ、思いを新たに再出発する。
過去10年と空き家になっていた築約70年の木造平屋を昨秋に賃借して改装し、12畳の展示スペースと田園風景を眺める10畳の喫茶室を整えた。おおむね月2回、企画展を催し、焼き物や手織り物、生活道具など衣食住に関わる県内外作家の手仕事を紹介する。コーヒーなどのメニューをセルフ形式で提供もする。
親交の深い木工家で、家具製作や建築設計に実績がある井崎正治さん(75)=愛知県=をプロデューサーに再生した。「住み継ぐ」を意識し、古材や廃材を使って床を張り替えたり建具をしつらえたりして、民家の風情を生かした。ボランティアの手を借りながら岡本さんも作業に励んだ。室内壁に施したしっくいの仕上がりは自慢だ。
豊科開発公社が市の指定管理者として運営する複合施設「安曇野の里」でチロルの開設に力を尽くし、以後一貫して9年間、地元内外作家の創作活動を発信した。経営状況を鑑みた公社の閉店方針に対し、岡本さんは公社退職の区切りをつけ、独立する準備を進めてきた。
19~29日を会期とする井崎さんの個展「木のひとがたと漆」を皮切りに、秋口までの開催計画を決めた。取り扱い作家の開拓も進める。岡本さんは「手仕事の再考にふさわしい環境。身の丈にあったやり方で、作品を手にした人が心豊かな暮らしを思い描けるお手伝いをしたい」と話す。
午前11時~午後5時。水曜定休。問い合わせは雨の樹(電話0263・31・6678)へ。