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博物館 人手不足が深刻に 南木曽町 妻籠宿本陣は平日休館 退職相次ぎ職員募集中

職員の不足により平日休館している妻籠宿本陣

 南木曽町の妻籠宿にある町博物館で、人手不足が深刻になっている。歴史資料館と本陣、脇本陣奥谷の3施設からなる博物館は、職員不足で昨年11月から本陣を平日休館している。町教育委員会は職員を募集しつつ、新年度からは資料館、奥谷で隔週木曜日を定休日として負担軽減を図るなどの対応を取る方針だ。

 町教委によると、職員は平成30(2018)年度に11人を配属していたが、個人の都合や新型コロナウイルス禍の臨時休館といった影響もあり退職者が相次ぎ、昨年10月から6人になっている。博物館を専門で担当するための非常勤職員が中心のため、町の他部署からの補充は難しい。本年度の入館者数は同10月末までで月平均3323人。コロナ禍前の7~8割の状況だが、3施設を運営する業務自体は変わらず、外国人旅行者が戻り英語案内も増えている。
 対応として新年度から、平均して来館者が一番少ない木曜日に、隔週(第2・4)で資料館と奥谷を休館する。休館の際は本陣を無料開放する。
 3施設はこれまで、年末年始以外に休館日はなかった。職員から家族の介護などで定休日の要望があったほか、休みがないことで職員研修や施設メンテナンスがしづらい課題もあった。ゆくゆくは毎週休館も検討するという。
 資料館と隣接する奥谷は国重要文化財で、高窓から差し込む陽光の筋「斜光」が見られることで知られる。妻籠観光協会の牧野光幸会長(74)は「斜光は妻籠宿で特に有名な光景の一つ。常に開館しているに越したことはないが、職員の負担を考えれば定休日措置は仕方がない」と受け止める。
 町教委はハローワークなどで職員募集をしており、今後も続けていく。「まずは現場を支える職員の負担軽減を図りたい。その上で最善の方法の検討を続けていく」としている。