筑北村を桜の名所に 住民団体 里山で苗植栽

筑北村の西条温泉とくら裏手の山の頂に今冬、コヒガンザクラの苗約50本が植えられた。松枯れで荒れる里山を桜に転換し眺望と共に楽しめる名所に変え、筑北地域で担い手の高齢化が進む桜花木栽培のPRにもつなげる試みだ。元地域おこし協力隊の市川満久さん(33)=坂北=が主宰する住民団体「KIKAZARI」が植え、身近だが疎遠となりつつある里山と住民を再び結び付ける〝花咲か爺さん〟を目指し奮闘している。
市川さんは、筑北・麻績両村の農園で桜花木・アカマツ(三段松)の栽培を手掛ける「はなさか」の代表。住民団体は市川さんの同業仲間と共に結成し「赤からピンクへ!」を掲げ、県の「地域発元気づくり支援金」で、令和3年度から坂井と坂北の山里で桜とアカマツの苗を植え、松林の再生と桜への樹種転換に取り組んでいる。
今回、桜を植えた山は村有地で、周囲に宿やスポーツ施設、商業施設が集中し大勢の人の目に留まりやすい立地だ。村の許可を得て昨年11月から伐採し、山頂で松枯れ木や雑木に埋もれていたあずまや周辺の眺望を回復。遊歩道沿い約100㍍に道しるべとなるよう植樹した。
松枯れ木をまき燃料に桜の切り枝ハウスを運営し、桜の幹・枝を使った薫製チップ材や草木染素材の開発・商品化も進める市川さんは、私費も投じて苗を植え続けており「桜と松の産業と文化を残すには苗を植え、住民にとって身近な存在となるよう機運を高めることが大切。地道に取り組みたい」と語る。