三岳ずし 正月へ仕込み 伝統の熟れ鮨 彩り華やか

木曽町の三岳地域に伝わる昔ながらの正月料理「三岳ずし」の仕込みシーズンを迎えた。酢じめの塩ザケと塩漬けした大根、ニンジンを米こうじで漬け込んで発酵させる。年末に仕込んで新春の食卓を飾る熟れ鮨だ。
地域の食文化と家庭の味に触れようと、作り方を学ぶ講習会が25日、木曽町文化交流センターであり、みたけグルメ工房代表の西尾禮子さん(83)が指導した。主婦ら約20人が、酢やこうじの加減を細かく尋ねながら漬け込んだ。正月ころがちょうど食べごろになるという。
冷蔵庫がなかった時代の先人の知恵が生んだ保存食で、紅白の彩りが正月らしい。西尾さんは「砂糖を使わないのが三岳の味」と紹介し「小分けして冷凍し、夏に食べるのもおいしい」と勧めていた。
三岳ずしは大正時代から御嶽教信者の寒参りのごちそうとして作られていたが、手作りする家庭は減ってきているという。道の駅三岳直売所では1月末まで店頭に並んでいる。