今年の漢字は「耐」 中信の主要企業204社に聞く

今年も残り3週間を切った。野球世界一を競うWBCで日本が優勝、ガソリン価格高騰、記録的な猛暑、パレスチナ情勢―。喜怒哀楽さまざまな気持ちを呼び起こす出来事があったが、総括するとどんな年だっただろう―。中信地区の主要企業204社を対象に漢字1文字でこの一年を振り返ってもらうと、「耐」を選んだ企業が10社で最多に。一昨年末に実施した翌年(令和4年)を象徴しそうな漢字調査でも1位は「耐」だった。ただ、耐えるものの対象は新型コロナウイルス禍から物価高、人手不足などへと様変わりした。
今年の漢字としては47文字が上がった。1位の「耐」を選んだ企業からは「コストアップ分を価格転嫁したところ需要が伸び悩んだ」(エネルギー関連)など、物価高に耐える一年だったという声が目立った。
2位には「厳」、4位は「難」と、重苦しさを感じる漢字が入った。「(一部業種の長時間労働を是正する)2024年問題といった変化についていくので精いっぱい」(食品製造)との回答があった3位の「変」、「観光客増加と人手不足で忙しかった」(運輸)という5位の「忙」と合わせて、事業環境の変化への対応に苦慮する様子がうかがわれた。
日本漢字能力検定協会が12日に発表した今年の漢字「税」も5位にランクイン。「ガソリン税の税負担を重く感じた一年」(情報通信関連)との声が。
今年の書道パフォーマンス甲子園で3位に入った松本蟻ケ崎高校書道部の宮坂真緒さん(17)=2年生=に1位となった「耐」の字を書いてもらった。自身の今年の漢字は「努」だという。部のパフォーマンス向上に努めた一年だったといい、「来年はプレッシャーに耐えて全国優勝したい」と意気込んでいた。
今年の漢字と合わせて、地元企業に来年はどんな年になりそうか、漢字1文字で表現してもらうと1位は「変」(9社)。立ち止まれない状況が続きそうだ。