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学び生かして地域防災担い手に 信大の35人が防災士合格

神田特任助教(左)と授業を振り返る合格者の伊東さん(右)と松本さん

 信州大学(本部・松本市旭3)は本年度、主に1年生を対象とする共通教育の授業「信州の防災学」を初めて開講し、受講者のうち35人が防災士の資格試験に合格した。総合大学の強みを生かして多彩な専門研究と防災教育を合わせ、広い視野を備えながら将来の職務や地域で防災活動を進める人材を育てる取り組み。カリキュラムに位置づけている大学は多くないといい、来年度以降も継続する。

 授業は地域防災減災センターをはじめ学内の理系・文系の教員や外部講師が担当。前期に16回のオムニバス形式で災害発生の仕組みや防災情報の課題、災害時医療、被災者支援などを幅広く取り上げた。資格試験を実施する認定NPO法人・日本防災士機構の認定機関校で、授業は試験に必要な養成研修講座の内容を網羅しており、全回に出席すると試験を直接受けられる。
 職員を含む約120人が授業を受講し、資格試験の合格率は97%だった。同センターの神田孝文特任助教(47)は県内でも自然災害が増えている状況に、防災教育の重要性を説き「専門分野に加えて防災の知識やコミュニケーション力を備え、身近に役立ててもらえれば」と期待する。
 合格した教育学部1年・松本哲佳さん(20)は、4年前の台風19号で佐久市の自宅近くでも被害が出たことから当事者意識を持って臨んだ。「教育現場で生かせる資格。リアルな話も聞けて、防災をもっと学びたい思いが強まった」と意欲を示した。総務課職員・伊東春香さん(24)は「防災を多角的に学ぶことができた。知識を持つ人が組織に存在することが大事だと思う」と話した。