地域の話題

松本城の外堀跡発掘調査 南西隅櫓跡から鯱瓦の破片出土

出土した鯱瓦の破片(市文化財課提供)

 松本市教育委員会が松本城の南・西外堀跡(松本市大手3)で進める発掘調査でこのほど、南西隅櫓があった場所から「鯱瓦」の破片が出土した。南西隅櫓の鯱瓦は一対(2体)がほぼ完全な形で現存しているため、この場所から新たに鯱瓦の破片が見つかったことは謎だ。市文化財課によると、現存するものより、さらに年代が古いものの可能性があるという。

 鯱瓦の破片はひれと胴体の一部で、いつごろに制作されたかは現時点では分かっていない。明治14(1881)年に南西隅櫓が取り壊された際に一対の鯱瓦を地域住民が保存し、昭和9(1934)年に松本記念館(現市立博物館)に寄贈した。うち1体は10月に開館した新たな博物館の3階常設展示室に展示されている。
 展示物はひれや胴体に欠損がなく、ほぼ完全な形で残っているため、今回の調査で出土した破片は「別の年代のものと考えるのが妥当」(市文化財課)とみる。同課埋蔵文化財担当係長の原智之さんは「南西隅櫓があった場所なので、この櫓の鯱瓦であることはほぼ間違いない。制作された年代を特定したい」と話す。
 発掘調査は4月に始まり、来年3月までを予定する。これまでの調査で、南・西外堀の二の丸側に木杭の列が張り巡らされていたことや、南外堀の三の丸側の石垣が西の端まで続いていることなどが分かった。現地説明会は9日午前10時から発掘現場で開く。参加無料で、事前の申し込みも不要。問い合わせは市文化財課(電話0263・85・7064)へ。