俳句の面白さ語る 羅の会25周年で記念講演会

松本市の俳句結社「俳句羅(ra)の会」(飯島ユキ代表)の25周年記念講演会が11日、松本市あがたの森文化会館で開かれた。「三月の甘納豆のうふふふふ」などで有名な俳人の坪内稔典さん=大阪府=と、信州古典研究所代表で国文学者の玉城司さん=長野市=が「俳諧・俳句とはどんな詩か」と題して対談。人々の心を捉えて離さない俳句の面白みが語られ、約150人が耳を傾けた。
坪内さんは松尾芭蕉の句「古池や蛙飛びこむ水の音」のカエルは何匹か―と問い掛けた。1匹とみる向きが主流だが、にぎやかに水音を立てるカエルの生命力を見て取った高浜虚子の晩年の解釈に触れ「読み方は一つではない。読み直しによって新しい命を得る」と指摘。玉城さんも「一通りの読み方しかできないのであれば俳句は細ってしまう」と応じた。
作句の縛りを巡っては議論が白熱する場面も。「ルールを守る世界」を説く玉城さんに対し、坪内さんは「それとは別の価値があるから作るという楽しみがある」。日常の言葉を生かす楽しさや日頃使わない言葉を使う面白さ、句会の魅力も語り合われ、坪内さんは「言葉の上で自由を発揮して」と話した。
羅の会は平成12(2000)年に発足し、会員は国内外に約100人。誰もが対等な関係の中で俳句に親しむ結社を貫く。記念講演は11月15日にも予定され、写真家の長倉洋海さんが登壇する。