街道巡り23年の集大成 「探訪の会」報告集16冊に

松本市とその周辺の街道巡りを23年にわたって続けてきた「街道探訪の会」(村田正幸会長)がこのほど、昨年と今年の野麦街道探訪の内容をまとめた報告集を完成させた。街道巡りはメンバーの高齢化により活動に区切りを付ける。4日、中央1のMウイングで開かれた今年の総会では、過去に制作された善光寺街道と千国街道、中山道の報告集も並べ、これまでの活動を振り返った。
野麦街道の報告集はA4判の259ページ。松本市中心街の伊勢町から岐阜県境の野麦峠まで、9回に分けて巡り歩いた記録を、各回で配られた事前資料や当日の参加者のやり取りを記した文章などでつづっている。会員に配り、市文書館にも寄贈する。
街道探訪は、村田会長が安原地区公民館に主事として勤務していた平成13(2001)年に始まった。当初は公民館事業として地区内を通る善光寺街道を巡り、17年からは4年かけて松本と新潟県の糸魚川市を結ぶ千国街道(通称・塩の道)にも足を延ばした。
村田会長は21年に公民館を退職したが、その後も有志が集まって街道巡りを続け、中山道や野麦街道の旧跡を訪ね歩いてきた。
一方、会員の高齢化により峠越えや長距離の歩行が伴う街道巡りは今年で終え、来年からは松本市街地の旧町名碑巡りなどで活動を続ける。
総会には会員11人が出席し、これまでに制作された16冊の報告集を机の上に並べて眺め、23年間の活動を振り返った。平成17年の千国街道探訪から参加している市内の80代女性は「歴史に興味があり、毎回楽しみにしている。元気でいる限り続けたい」と話した。村田会長は「地元の人でも歴史を知る人が少なくなる中、街道の現在の様子を記録に残せてよかった」と振り返った。