2023.12.21 みすず野
美術館を訪ねる目的の第一は、もちろん展示されている作品の鑑賞だが、その後、併設されているミュージアム・ショップをのぞく楽しみがある。展示品の複製画や作品展の図録などは、最もオーソドックスな商品だろうが、それだけにとどまらない商品構成が来場者を引きつける◆松本市美術館のショップは、美術関連の書籍が充実している。書店で見かけたことのないような本もたくさんあり、背表紙を読むだけでも時間を忘れる。収蔵作品関連のバッグや小物などもある◆最近買い求めたのは、3月24日まで開催中の「須藤康花~光と闇の記憶~」展で展示されている作品の絵はがき。平成17(2005)年から20年までに描いた麻績村の風景画8枚組で、全て水彩画。冬の村の風景だと思われる「杉林」は、唯一、縦の構図で、雪と杉の木が並ぶ静かな風景だ◆店内には、康花さんの父・正親さんとの共著『黒い絵 父と子が語る戦争』(同時代社)などの関連書籍もある。絵葉書には含まれないが、会場には、麦わら帽子をかぶった男性が、水田や田舎道の画面の端に描かれている作品が3枚展示されていて、印象に残っている。