政治・経済

松本市の生活保護申請が増加傾向 目立つ若年層

 松本市で生活保護の申請件数が増加している。令和元年度比で昨年度が137・6%、本年度も140%近くに達する見込みだ。新型コロナウイルス禍の影響は減ってきたものの、潜在的な病気や障害を抱えて安定して働くことが難しいケースが増え、住居を失って困窮する若年層が多く見受けられるという。

 10月1日現在の市内の生活保護世帯は1577世帯。「高齢者」「傷病・障がい者」「母子」「その他」の四つの世帯類型のうち「傷病・障がい者」と「その他」が前年度と比べて特に増えている。市生活福祉課によると、寮などに入っていて失業と同時に住居もなくし、生活保護相談窓口を訪れた「その他」に当たる若年層が、相談を進めるうちに病気や障害が判明し「傷病・障がい者」類型に移行するケースが増えている。担当者は「生活保護に至る原因が複合的になっている印象」とする。
 市の生活保護世帯数は、平成20(2008)年のリーマンショック後にそれまでの1000件前後から1300~1400件に増えた。ここ数年は1600件前後で高止まりしている。市は本年度、部局横断で取り組む「誰も取り残さない全世代型支援体制整備事業」で、福祉や教育などさまざまな分野の職員が関わって当事者を支援する体制を始めた。
 これから年末にかけて相談が増える時期だが、同課は「コロナや物価高については、市社会福祉協議会の特例貸し付けや国、地方公共団体の給付金があったこともあり、生活保護への影響は少ない印象」と話している。