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安曇野市職員 ミステリー新人賞 麻根重次さん「赤の女王の殺人」 島田荘司さん選者の文学賞

発表会に出席した(左から)島田さんと麻根さん、枝広市長(麻根さん提供)

 安曇野市豊科の同市職員・麻根重次(ペンネーム)さん(37)の小説『赤の女王の殺人』が、ミステリー作家・島田荘司さんが選者となる「第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」に輝いた。刑事の夫と市役所勤務の妻の2人が主人公の作品で、島田さんの指導で推敲され、来春に講談社から出版される予定だ。

 『赤の女王の殺人』は18万文字を超える長編小説だ。市民相談室に勤務する六原あずさが相談者の妻が密室から転落死する現場を目撃し、六原の夫で刑事の具樹が「ナツミ」という人物を追って捜査を始める。ナツミの行方が知れぬ中、あずさの元に不可思議な相談が相次いで舞い込むといったストーリーで、事件の真相に迫っていく。
 麻根さんは5年ほど前に趣味で小説を書き始めた。信州大学の学生だった時からミステリー作品が好きで、「何かきっかけがあったわけではないが一念発起した」。1作目は他の文学賞に応募したが1次審査が通らず、「厳しい世界だ」と一時は諦めかけたものの、2作目の『赤の女王の殺人』を手直しし、「ファンとして島田先生に読んでもらい、講評してもらえれば、こんなにうれしいことはない」と、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞に応募した。
 同文学新人賞には61作品の応募があった。『赤の女王の殺人』は松本と安曇野が舞台で、情景描写や事件解決に至るまでの経過などが評価された。10月下旬に広島県福山市で受賞作発表記者会見があり、麻根さんや島田さん、実行委員長を務める枝広直幹福山市長らが出席した。
 麻根さんは「思いがけず新人賞をいただくことになり、驚きと喜びで胸がいっぱい。福ミスには3冊や4冊を出版している先輩もいるので、追いつけるように頑張りたい」と話している。