教育・子育て

「生き物好き」を育てて5年 自然学習支援の安曇野市「ちくにみらい基金」

烏川渓谷緑地で自然観察をする豊科東小の5年生

 安曇野市内の子供たちの自然学習を支援する市の「ちくに生きものみらい基金」の活用が、本年度で丸5年を迎えた。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いた本年度は、学年単位での申し込みも増え、基金を活用して校外学習に取り組んだ子供たちの数は小中11校1336人に上る。実績人数が1000人を超えるのは初めて。

 基金は平成29(2017)年度、三郷温で生まれ豊科で暮らしたクモ類研究者・千國安之輔さん(1911~2005)の遺族(故人)の寄付金約5340万円で創設された。翌30年度から活用が始まり、小中学校や公民館が自然学習を行う際のバスのチャーター代などに充てられている。
 申し込みを受けた市文化課がバスや講師を手配。純粋な自然観察だけでなく、市豊科郷土博物館といった施設の見学など、自然に関わる幅広い学習に活用できる。昨年度の小中学校の実績人数は10校983人だった。
 市内の県烏川渓谷緑地ではこのほど、豊科東小学校の5年生27人が、同施設の職員の案内で自然観察をした。小川で水生生物も探し、宮下琴さんは「見たことがない生きものがいてびっくり」と目を輝かせていた。
 同校は本年度、4学年で計5回、基金を活用した校外学習を実施。馬淵勝己校長は「地域や自然とつながる機会は大事だが、東小は中心地から離れていて移動がネック。交通手段の提供や指導者の派遣はありがたい」と話す。
 本年度予算の基金繰入金は107万円で、9月末時点の残額は5016万円。市文化課の担当者は「安曇野は教材の宝庫。市職員が講師になることも多く、職員自身が環境や子供たちの学習を理解することにもつながっている」と話している。