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松本の集落遺跡「南栗遺跡」 火葬施設3基が出土

かまど跡で土器の破片を測定し、図面に表す作業が進む

 県埋蔵文化財センター(長野市)が、古代から中世にかけての集落遺跡「南栗遺跡」(松本市島立)の発掘調査を進めている。本年度は建物跡16軒のほか、中世のものとみられる火葬施設が見つかった。火葬施設では人骨や炭、古銭がはっきりと分かる状態で確認された。現地説明会が28日に開かれる。

 中部縦貫道の松本ジャンクション建設に伴う発掘で、昨年5月に着手した。昨年度は6000平方メートル、本年度は5200平方メートルが対象となる。栗林神社の南、県道新田松本線近くの田んぼだった場所で作業をしている。
 火葬施設は3基見つかった。その中の1基で頭の骨の一部と考えられるものなどを確認した。一帯では中世の住居跡が見られず、県埋蔵文化財センター調査指導員・平林彰さん(63)は「住居は別の場所に移ったけれど、火葬施設は残されたと考えられる。地域の変遷を考えるのに興味深い発見」とする。
 このほかに、建物のかまど跡もはっきりとした形で見つかった。昨年度の調査で出土した木棺墓の副葬品の小瓶なども見学会で展示する。
 令和8年度までに一帯の約6ヘクタールの発掘を計画している。南栗遺跡では長野道建設に伴う昭和60(1985)年、61年に調査が行われた。平林さんは「思いのほか南側に集落が広がっていた。火葬施設のある辺りが南端ではないか。今後の調査で西の端も確認できるかもしれない」と話していた。
 説明会は28日午前10時半と午後1時半の2回。駐車場あり。問い合わせは県埋蔵文化財センター(電話026・293・5926)へ。

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