政治・経済

相次ぐツキノワグマ被害 県、目撃地周辺で緊急点検へ

 全国的にツキノワグマの被害が相次ぎ、県内でも人身被害が増えていることを受け、県は20日、県庁で臨時の対策本部会議を開き、目撃情報があった場所の周辺で緊急点検を行うことを決めた。松本市安曇の上高地で観光客が襲われる被害があったことも重視し、観光地の周辺も含めて点検し、熊が近づかないように対策を施す。

 県環境保全研究所の研究員が、ツキノワグマの習性や有効な対策を説明した。熊は里地でおいしいものを食べると、その体験を長い間記憶し、繰り返し出没するようになるという。嗅覚に優れ、においや味への執着が強く、一度味を覚えると連日、通うようになる。
 対策として、柿や栗の木の伐採、実の早期収穫、廃棄した果樹や野菜の除去などの徹底が有効だという。熊はやぶなどに身を隠して里をうかがうため、低木やササ、草の刈り払いも有効という。
 緊急点検は県と市町村で連携して実施する。▽柿や栗など熊の誘引物の有無▽里地際のやぶの有無▽わなの設置状況―などを点検し、必要に応じて実の収穫や木の伐倒、やぶの刈り払いなどを指導する。
 県内では本年度、ツキノワグマの目撃件数が前年同時期の1・6倍あり、人身被害も9件10人に上っている。観光部が「(9月27日に)上高地であった人身被害を深刻に受け止めている。観光地の対策を」、農政部が「農作業中に熊に遭わないよう、ラジオを鳴らすなどの対策を周知すべき」といった意見を出し、対策に盛り込んだ。

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