教育・子育て

障害児教育にICT活用 県が松本ろう学校にセンター開設

さまざまな機器やアプリケーションを備える中南信センター

 ICT(情報通信技術)やAT(支援技術)の活用を推進して障害のある児童生徒の学校生活を充実させる県特別支援教育ICT・ATリソースセンターが16日、県内2カ所で開所した。中南信センターは県松本ろう学校(松本市寿豊丘)に設置され、担当教員が相談・助言に当たりつつ専用機器を貸し出すなど総合的に支援する。教育現場でのこうしたセンターの設置は、全国的にも珍しいという。

 卒業後も見据えた自立と社会参加を目的に、一人一人の特性・ニーズに合わせて学びの工夫や環境整備を進めていく。各校の相談に応じ、機器の設定や効果的な使い方を検討、貸し出しによる試用や活用までサポートする。東北信センターは長野市に開設した。
 中南信センターには視線入力装置、画面タップやマウスの代替となるスイッチ類、動作補助ツールなど約30種類の機器を導入。重度・重複障害、肢体不自由、知的障害などのある子供の意思表示や身体の動きを支援する。読み書きが困難な児童・生徒向けのトレーニングや発語の代わりに音声を使う意思伝達支援のアプリケーションなどもそろっている。
 特別支援教育でICT活用を推進する県の取り組みとしては、昨年度から県内4地区にブロックリーダーを配置し、学校を巡回しながら実態把握や好事例の集約などを進めている。センターは9月に特別支援学校向けにプレオープンし、発達障害を含む地域の小中学校や高校も今後は対象となる。
 中南信センター担当教員でブロックリーダーの柴田眞優美教諭=県寿台養護学校=は「機器や技術を活用し、能力を最大限に生かすことで活動の幅や社会参加の可能性が広がる」とし、「子供たちの自立した活動をサポートしていきたい」と話している。