地域の話題

朝日村針尾の旧民家 表現の場に

暗室で作業する宇賀神さん

 朝日村針尾の写真家・宇賀神拓也さん(46)が、針尾の旧民家に今年設けた暗室完備のスタジオ兼ギャラリー「BLUE HOUSE STUDIO」で、多彩な企画が展開されている。村内外さまざまなジャンルの作家らが自由に使える場として開放し、個展やワークショップを開催。作家同士や作家と住民が交流し、多彩な表現や交流が生まれる空間に育てたい考えだ。12~15日は、写真や映像を手掛ける作家・名雪晶子さん(30)=横浜市=の写真展が開かれる。

 空き家だった民家を改修し5月にオープンした。ギャラリーは白い壁と黒色の古いはりが特徴的で、床はモルタルで仕上げた。自然光が入るよう天窓を付け、照明にもこだわりが光る。入り口には知人作家手作りの木製の大型の戸を付けた。
 長年フィルムカメラで撮影する宇賀神さんが、暗室のある作業場を作りたいと考えたことがきっかけで、改修を進めるうちに多機能の空間に広がっていったという。作品や人物の撮影に使えるようレンタルの照明機材をそろえ、作家が泊まれる宿泊スペースも設けた。暗室ではフィルム写真をプリントするワークショップを随時開催。宇賀神さんは「アナログだからこその感動やインスピレーションが生まれる」と暗室作業の魅力を語り「ここを面白い場にしていきたい」と話す。
 名雪さんは写真を通じて宇賀神さんと親交があり、「靄」と題したシリーズ作品約20点を紹介する。ドライアイスの煙で靄を表現し「肉眼で追い切れない一瞬の形を写し出したい。靄の中にあるものは何か想像しながら見て欲しい」と語る。ギャラリーの雰囲気を気に入り「化学反応が生まれそう」と期待を寄せている。