政治・経済

松本市発注事業働きやすく 公契約条例本格施行 業者に労働環境報告義務

市役所本庁舎。庁舎の清掃や警備などの業務委託契約は労働環境報告書の提出対象となる

 松本市の事業を受注・受託した民間会社の労働環境を向上させる市公契約条例について、その実効性を担保する取り組みが今月始まった。人件費割合が高い清掃などのサービス業や、一定額以上の工事を行う業者に「労働環境報告書」の提出を義務付け、市は必要に応じて是正指導を行う。賃金水準などを下支えし、労働者の権利を守る。

 同条例の施行は7月で、県、長野市に続き3例目となる。
 提出が義務付けられるのは、予定価格1億円以上の工事を行う業者や、10万円以上の清掃、警備、宿日直などの受託業者、公募による指定管理業務(下請け、再委託の業者を含む)で、対象案件は年間40~50件。今月以降の契約から適用し、来月中には1例目の報告書が提出される見込みだ。
 労働環境報告書には、就業規則、時間外・休日労働、最も賃金が低い労働者の時間単価など14のチェック項目がある。労働者など誰でも市契約管財課窓口で閲覧でき、最低賃金(長野県は10月から948円)を下回るなど法令に違反する場合は市に申し出ることができる。市は調査や通報、是正指導を行い、応じない場合は公表する。
 他の自治体では拘束力のない「理念型」の条例もあるが、松本市は、最低賃金水準で働くことが多い清掃業などのサービス系労働者の権利を守ることを主眼に実効性を高めた。
 市は条例とは別に、週休2日で取り組むことを指定した工事発注も令和7年度以降に段階的に行う。契約管財課は「人材不足になっては困る産業の一つ。労働環境の改善や働き方改革に積極的に取り組んでいきたい」としている。