生活の足 交通空白解消 松本の3地域で新事業スタート

松本市内で「交通空白地帯」となっている三つのエリアで2日、新たな取り組みがスタートした。AI(人工知能)を活用したオンデマンドバスと、地域が運行する乗り合いタクシーで、少子高齢化などさまざまな課題を抱える地域の期待を背負って出発した。
松本市の梓川エリアと寿エリアで2日、AI(人工知能)を活用したオンデマンド(予約制乗り合い)バス「のるーと松本」の利用がスタートした。来年3月末までの半年間、乗車人数や運行形態などのデータを集め、その後の本格運用を検討する実証運行となる。
初日は両エリアで出発式が行われ、梓川保健センター前の出発式で宮之本伸副市長は「住民の足として多くの人に利用してもらいたい」と呼び掛けた。初利用した女性(78)は「運転免許証がないので普段からバスで移動している。行動範囲が広がるかも」と期待していた。
のるーと松本は梓川エリアで約200カ所、寿エリアで約150カ所の乗降ポイントを設け、アプリや電話で予約して1回当たり300円(未就学児は無料)で利用できる。運行は平日午前9時~午後5時で、予約はスマートフォンの専用アプリや市公式LINEのほか、専用電話(電話0263・31・5315)でもできる。
市公共交通課は「両エリアでそれぞれ1日50回の利用を目指したい」としている。
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松本市島内地区の4町会でつくる「島内川東地域公共交通協議会」が、運行する乗り合いタクシーの営業区域を岡田地区の神沢町会と塩倉町会にも広げることになり、岡田地区町会連合会とともに2日、神沢公民館で出発式を開いた。バスや電車などの公共交通がない両町会の期待は高く、住民や関係者約30人が集まって門出を祝った。
松本駅や信州大学医学部付属病院(旭3)に向かう一部ルートが両町会を通過しており、新たにルート設定することなく運用できる。式で鳥羽孝和・岡田地区町会連合会長は「非常に待望していた。高齢化が進むが、これで免許返納なども安心して進められる」と喜んだ。2日現在で神沢町会で66世帯、塩倉町会で16世帯が利用登録を済ませている。
乗り合いタクシーは協議会の委託を受けた第一交通(渚2)が、4人乗りタクシーで運行している。利用料金は1便当たり大人片道500円で、登録者の自宅と行き先を結ぶ。協議会副会長で、予約受付担当の逢澤幸子さん(70)は「困った時はお互いさまの気持ちで進めたい」と話していた。