連載・特集

2023.10.18 みすず野

 サンゴ礁にすむ魚は夜明けが近づくと、目を明るい環境に対応できるよう切り替えるとか。切り替えに20~30分ほどかかるため早く準備しておかないと、明るくなってからだと食べられてしまったり餌を食いっぱぐれたり(『体内時計のミステリー』大修館書店)◆科学者が使う用語や言い回しは―日ごろ小説や随筆しか読まないので―文意を追いづらいが、生物が生存に必要な〈時計〉を備えていることだけは分かった。一日周期の睡眠と活動も同じでリズムが乱れたら、たちまち変調をきたす◆前日の疲れを翌朝に持ち越すことがある。思うような睡眠時間がなかなか取れておらず、理想と実際の隔たり(1時間不足39・6%、2時間不足21・3%...)が大きいほど、うつ傾向や不安のある人の割合が増える。幸福感が低くなる―本年度の「過労死等防止対策白書」に盛り込まれたアンケート結果から実態が浮かぶ◆「働き方改革」が言われて久しい。いくら制度を整えても、法に触れてさえいなければいいといった程度の意識だと、改善は進まないだろう。過労で倒れる人を出さない。上に立つ人はあらためて胸に刻んでいただきたい。

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