連載・特集

2023.10.14 みすず野

 JR松本駅に近い、立体駐車場国府町パーキングが営業を終了、11月から解体と先日の小紙に載った。昭和54(1979)年の開業というから、40年以上続いたことになる。地の利に優れ多くの人に利用されたことだろう◆取材はもちろんだが、松本市芸術館の催しを見に行くときは、いつもここを利用した。夕方が多かったが、ゆっくり駅前通りを歩くのは心にゆとりができるようだった。この時期だと明かりがともった店内の様子を見たり、同じ駐車場から催しに行く人たちの会話を聞いたりするのも楽しかった◆駐車場は市内外から訪れる人たちを受け入れる港のようだ。自動車という船をとめ、街に足を踏み入れて行く。一人でもカップルでも家族連れでも、そこから市街地が広がっていく。街の活性化に果たす役割は決して小さくない◆駐車スペースが少し狭いと思いながら、最初に止めたのは20代。開業から3年ほどの頃。有名ブランドのブレザー(!)を買いに来て、店名が西独(当時)の車メーカー名をもじった店でラーメンを食べた。どちらの店も今はない。街の歳月を見つめ続けてきた駐車場も、間もなくその姿を消す。

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