古田晁(塩尻市出身)の命日「滂沱(ぼうだ)忌」に 没後50年で変更

筑摩書房創業者で、塩尻市北小野出身の古田晁(1906~73)が亡くなり、今年で50年となる。没後50年の節目に、古田晁記念館と市立図書館は命日(10月30日)の「葡萄酒(わいん)忌」を「滂沱(ぼうだ)忌」に改め、墓参ツアーを行う。古田の盟友で、安曇野市堀金三田出身の文芸評論家・臼井吉見(1905~87)の長男・高瀬さんの講演がきっかけで名称を改めた。
昨年10月に古田晁記念館文学サロンの講演会で、高瀬さんが葡萄酒忌にちなみ、古田とワインを結び付ける話を探したが、なかったと報告。代わりに筑摩書房社員が昭和56(1981)年か、57年に詠んだ俳句「滂沱忌と 名付けたき師よ 神無月」を紹介した。滂沱は涙がとめどなく流れ落ちるさまを意味する。「10月になると涙が出てくる」という気持ちを詠んだ俳句で、没後10年近くたっても社員に慕われた古田の人柄を示すエピソードを取り上げた。古田が酒を飲むとよく滂沱の涙を流したことも触れた。
この講演を受け、上條史生館長の判断で名称変更を決めた。墓参ツアーは令和3年に始めた。当初の葡萄酒忌は、塩尻の特産品ワインにちなんで名付けた。上條館長は「滂沱忌の方がふさわしいのではないかと考えた。没後50年の節目に、塩尻が生んだ偉大な出版人について、多くの人に知っていただきたい」と話していた。
墓参ツアーは命日の前日の10月29日に行う。正午にJR塩尻駅に集合し、電車で北小野に向かい、古田晁記念館近くにある古田の墓を参拝する。記念館も見学する。定員20人(先着順)。
申し込みは塩尻市立図書館(電話0263・53・3365=水曜休館)へ。