埋橋の整備 文化庁と合意 松本市長表明 撮影スポットで復活へ

松本市の臥雲義尚市長は13日、老朽化が進み、平成23(2011)年の県中部地震(松本地震)以降、通行止めになっている国宝松本城の埋橋を整備する考えを明らかにした。既存の橋脚を用いて橋上部のみ修理する方針で、写真スポットとして復活する。「市民だけでなく国内外の観光客からも人気を博している朱色の埋橋と漆黒の天守のコントラストを、できるだけ長く保全したい」と述べた。
13日の市議会9月定例会の一般質問で木場陽子氏(無所属)に答えた。
埋橋は、昭和30(1955)年の天守解体復元工事に伴って、当時の議会の提案によって観光用に建設された橋で、文化財として整備される対象ではない。ただ松本城を訪れる観光客の撮影スポットとして根強い人気があり、昨年の市議会9月定例会の一般質問では伊佐治裕子教育長が「残す方向で議論していきたい」と述べていた。
この後、複数回にわたって市が文化庁と協議を重ね「橋の建て替えは極めて困難だが、既存の橋脚を用いた修理であれば可能であること」「橋上部のみを修理しあと50年維持していく考えで臨むべきである」との合意に至った。その場合、往時は橋がなかった旨を明示することという指導・助言を受けた。
臥雲市長は「現状を放置することなく、文化庁と必要な協議を進め、欄干の修繕や塗装などの整備を行う」と決意を語った。