乗鞍の宿を引き継ぎ奮闘 大阪出身の有田さんが学生時代の縁で

松本市安曇の乗鞍高原で、スキー場近くの「雀の宿やぐら」を、大阪府出身の有田朋子さん(50)が一人で切り盛りしている。学生時代に住み込みでスキー教室に通った縁があり、高齢の先代から経営を引き継いた。開業が新型コロナウイルス禍と重なり、現在は光熱費の高騰の影響を受けるが、"乗鞍愛"と笑顔で苦境を乗り越えようと頑張っている。
有田さんは高校生のころから乗鞍に通い、日本プロスキー教師協会のインストラクターだった先代にスキーを教わった。学生時代は春休みに雀の宿に住み込み、仕事を手伝いながらスキーを楽しんだ。
大学で専攻した管理栄養士の資格を取得し、24歳から2年間、青年海外協力隊員として中米のコスタリカで有機農業による食生活の改善に取り組んだ経歴を持つ。
静岡県の病院に勤務していたが、先代が高齢になって経営を辞めると聞いた。令和2年春に一念発起して移住し、12月24日に開業した。老朽化した宿の水回りやトイレの改修などで「蓄えは使い果たした」という。コロナ禍が重なり「波田のリンゴ農家を手伝って現金収入を得てきた」と苦笑する。
宿は4部屋あり、食堂は木のぬくもりと趣のある雰囲気が好評で、「外観からは想像できないと言われる」と笑う。すずらん温泉の湯は無色透明で炭酸水素イオンを多く含み、刺激が少なくゆったり入れる。食事は旬の食材を使い、栄養バランスが取れた手作り料理を提供している。
有田さんは「昔からのスキー仲間に応援してもらっている」と感謝し、「冬場以外も乗鞍は魅力がいっぱいある。ぜひ宿泊して楽しんでほしい」と話している。問い合わせは雀の宿やぐら(電話0263・93・2323)へ。