政治・経済

VAIOがJ―クレジット申請へ 水田の「中干し」延長でメタン削減

 パソコンメーカーのVAIO(安曇野市豊科)は7日、本社近くの水田から発生する温室効果ガスの一つメタンを減らし、排出削減分を国の「J―クレジット制度」に年内にも認証・発行申請すると発表した。出穂前に水田から水を抜く「中干し」の期間を延長することでメタン排出量を減らす。県内の企業がこの内容で申請するのは初めてという。



 同社が環境経営推進の一環で主導する「安曇野市新田の水田中干し期間延長による温室効果ガス削減プロジェクト」で、県や安曇野市、農事組合法人・新田安曇野生産組合などが協力している。
 J―クレジット制度は、二酸化炭素などの排出削減量や森林管理による吸収量を「クレジット」として国が認証し、取引を可能としている。中干し期間の延長は、J―クレジットの農業分野での新たな方法論として今年3月に承認された。
 農林水産省や同社によると、中干しは出穂前に田んぼを乾かす作業で、稲の生長を制御する意味がある。水田のメタンは嫌気性菌であるメタン生成菌の働きで生じる。メタンには二酸化炭素の25倍もの温室効果があり、通常行われている中干しの期間を7日間延長することで、発生量を3割減らすことが確認されているという。
 J―クレジット制度では、直近2年以上の実施平均日数より7日間以上延長し、所定の審査を受けると、削減量分のクレジット認証を受けられる。同プロジェクトは、約18ヘクタールで7~8月に中干し期間を延長した。理論値として20~25トンのメタン削減が見込まれる。同社がクレジットを買い取ることで農家の副収入にもつながる。
 同社広報担当は「今年の結果を踏まえ、要望をいただきながらプロジェクトを広げていきたい」とする。

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