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三ツ紐伐りの技 次代へ 木曽地域の保存会員ら 東濃の国有林で研修会

伝統的な伐採技法「三ツ紐伐り」で木を切っていく参加者

 木曽地域などの林業関係者でつくり、古式にならった伐採方法「三ツ紐伐り」を継承している「三ツ紐伐り保存会」は8日、岐阜県恵那市の岩村国有林で、技術を磨く研修会に参加した。伊勢神宮(三重県伊勢市)で20年に1度営まれる式年遷宮を前に、会員8人が、社殿建て替えの御用材の切り出しにも使われる技術を練習した。

 三ツ紐伐りは、立ち木に3方向からおのを入れて、できるだけ木材に損傷を与えずに伐倒する技術。伐倒方向から見て左右2カ所と、逆方向1カ所に弦と呼ばれる部分を残して切り進め、最後に伐倒する方向とは逆の「追い弦」を切って正確な方向へ倒す。
 技術継承に関わる神宮司廳営林部(三重県伊勢市)と、裏木曽三ツ伐り保存会(岐阜県中津川市)の関係者と混成した4班で、高さ25~30㍍、直径50㌢ほどのヒノキを1本ずつ伐倒した。
 大勢の見学者が見守る中、最後は大山の神へ大声で「いよいよ寝るぞー!」などと呼び掛けてからおのを入れ、メキメキ、ドシンという大きな音とともに木を倒した。所属団体の枠を超えて熟練者が若者におのの扱い方のこつを教える場面もあった。
 林野庁東濃森林管理署が研修の場を設けた。三ツ紐伐り保存会の橋本光男代表=上松町=は「会員の世代交代がある中で、ありがたい機会。先輩の姿を見て技術を〝盗み〟身に付けてほしい」と願っていた。

 平成25(2013)年の前回の遷宮では、17年に上松町の赤沢自然休養林内で御用材を切り出す祭事「御杣始祭」が営まれた。次回遷宮の日程などは、天皇陛下から許可を得て正式に決まる。

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