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宇宙線研究70年 東大乗鞍観測所で記念見学会

太陽中性子望遠鏡について語り合う参加者

 乗鞍岳山上の標高約2770m地点にある東京大学宇宙線研究所の乗鞍観測所が今年、発足から70年を迎えた。2日に同観測所で記念の見学会があり、研究所の関係者ら約50人が足跡を振り返った。

 太陽から発生する中性子を感知し、太陽フレアの観測などに用いられる64平方㍍の太陽中性子望遠鏡や、日本天文遺産に認定されている宇宙線検出器「仁科型電離箱」など、施設内の観測機器を見学した。参加者には宇宙線研究者も多く、近年の施設の運用状況や、互いの研究成果について言葉を交わす姿が見られた。
 乗鞍観測所は長野、岐阜県境の岐阜県高山市寄りにあり、連絡所が長野県側の松本市安曇にある。昭和28(1953)年に全国の大学の共同利用研究所として発足し、戦後日本の宇宙線研究が発展する大きな足掛かりとなった。現在は高山にすむ動植物や大気の観測など地球環境の研究にも用いられている。
 﨏隆志観測所長(52)は「先人の苦労に感謝し、これからも人を育てる場として観測所を使ってほしい」と話していた。