連載・特集

2023.9.23 みすず野

 先週、青空から差す日の光にうんざりしながら、玄関の周囲を片付けていたら、通りかかった近所の男性に「これからお盆が来るようですね」と話しかけられ、うまいことを言うとうなずいた。昨日書店の会計で女性の店員が「ようやく涼しくなりましたね」と笑顔で釣り銭を手渡してくれた◆「暑さ寒さも彼岸まで」とはよくいったものだなと思いつつ、この夏の暑さは「彼岸まで!」と力を込めて断言したいような、猛暑、酷暑だった。夏が行くのを惜しむ感傷的な気分はもちろんわかるがそんな感情をこれっぽっちも抱かせない、体にこたえる日々だった◆この後、一気に涼しく、秋らしくなるかというと、どうもそういうわけにはいかないらしい。このままだと、当分の間、行きつけのラーメン店のメニューから、冷やし中華はなくなりそうもない。これだけは歓迎する◆近年の傾向として、暑さが長引き、秋を感じたと思ったら、あっという間に冬になる。山を染める紅葉や、自然の恵みのキノコ、新そばなどをゆったりと楽しみたい。両極端が際立つのはいいあんばいではない。中間の微妙な穏やかさがバランスを保ってくれる。